「なんでダンデの相棒がリザードンだったんだろう」って話

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ポケモン剣盾ストーリーのネタバレを含みます※

 

こんにちは、やることがなくて暇なので、「 〜〜って話」をシリーズ化しようと目論んでいる者です。

 

今回は少しだけ御三家統一そのものから外れて、御三家ポケモンに関わる話。

ガラル地方最強のチャンピオン・ダンデさん。その相棒ポケモンリザードンということで、剣盾発売当初少し思っていたことを今回記事にしてみます。個人の主観が強く反映された記事ですので、ご自分の考えと合わなくともご容赦ください。

 

 

 

時は2019年秋、剣盾発売前の情報で、

 

「ガラル地方のチャンピオンの手持ちにリザードンがいる」

 

というのは知らされていました。そして発売後にストーリーに触れ、少しずつ、ある疑問が大きくなっていきました。

 

 

「なんでダンデさんの相棒がリザードンなんだろう?」

 

 

なぜこんな事を思ったかというと、ストーリーを終えた人にはお分かりだと思いますが、ダンデさんの『最強の手持ち』として主人公の前に立ちはだかるポケモンとしては、もっとドラマチックさを演出できるポケモンが複数いたからです。

 

・主人公がはじめてのポケモンを手に入れる際、選ばれなかった1匹が成長して主人公に立ちはだかる

・新600族のドラパルトが、それこそ歴代チャンピオンの、ワタルのカイリュー・ダイゴのメタグロス・シロナのガブリアスのように最後の壁となる

 

など、いくらでも新しくて強いポケモンをフィーチャーできたはずなのです。

 

もちろん、初代から根強い人気のあるリザードンの新しい姿「キョダイリザードン」を自然に、かつインパクトのある形で導入したかったという意図はあったでしょう。

 

しかし私には、ゲーム開発者たちのもっと強いメッセージが込められていたのではないかと考えています。

そのメッセージを読み取るためにはまず、次の2つのことを考える必要があります。

 

 

 

リザードンはいつでも僕らの味方だった

 

赤・緑バージョンではじめてヒトカゲを選んだ日から今日まで、リザードンは明らかに「私たちトレーナー側のポケモン」でした。

各メディアミックスの際には御三家ポケモンの中でも主人公の手持ちとして描かれることが多く、主人公との絆で発動するメガシンカも2種類あり・レート対戦でも長い期間活躍しました。

時にワタルの手持ちにいることなどもありましたが、ゲーム内で今回のように明確に他の誰かのパートナーとして描かれるのは初めてでしょう。

今まで私たちトレーナーのパートナーの象徴であったリザードンが、チャンピオンのパートナーとなっている、ここにポイントがあると考えています。

 

 

 

ポケモンリストラ事件

 

剣盾発売前の情報で最もショッキングだったものは、

 

「全てのポケモンをガラル地方に連れて行けるわけではない」

 

というものです。この発表は、好きなポケモンと一緒に最新作をプレイできないと分かった多くのトレーナーを悲しませたことでしょう。

また製作者側の立場からしても、膨大な数のポケモンたち1匹1匹のCG製作が現実的に不可能であることを鑑みての決断なのですが、断腸の思いであったことは想像に難くありません。

 

 

この2つの事柄を踏まえると、ダンデさんの相棒にリザードンを採用したのは、苦渋の決断を、多くの批判を浴びることになっても選択しなければならなかった製作者の方々の、強い決意表明だったのではないかと思います。

 

実際にゲームをプレイした方は感じ取れると思いますが、ポケモン剣盾では随所に「ダンデ世代が主人公だった時代」が見え隠れします。ダンデさんがひとりのトレーナーとして冒険に出発し、ソニアやキバナと互いに切磋琢磨し合いながらチャンピオンになるまでのストーリーが明確に存在します。そしてこのダンデ少年こそが、あの日モンスターボールを手にした私たちトレーナーなのです。

 

ダンデさんとリザードンには、このようなメッセージが含まれていると思えてなりません。

 

「申し訳ないけれど、ぼくたちはこれまでと同じポケットモンスターをみんなにお届けすることは出来なくなってしまった。君の大好きだったポケモンとも、しばらくお別れしてもらわなきゃいけない。

けど、お願いだ。ぼくたちはこれまでよりもっと面白いポケットモンスターを作ってみせる。だから君も、これまでの自分とそのパートナーと、一旦お別れして、未来と向き合ってくれないか」

 

ダンデさんは、過去と決別し・新しいポケットモンスターと向き合っていくために、乗り越えなければいけないこれまでの自分自身です。

だからこそその相棒は、これまでずっと私たちのパートナーであったリザードンでなければならなかったのです。

 

トーナメントの最終戦ではじめて敵として向き合うリザードンは、NPCポケモンには似つかないほど強力なわざ構成をしていました。それはまるで、実際に私たちがポケモンをプレイする中で、あらゆるポケモンに勝てるよう考え抜いたわざ構成であるかのようで、ダンデさんがかつての自分で、リザードンがかつての相棒だったことを暗示しているのでした。

 

 

 

ダンデさんに勝利した後、彼は悔しさをグッと噛み殺し、主人公と観衆に向けてこう語りかけます。

 

 

「(前略)  キミが 強くなった いま オレも 未来のことを 考えよう 

未来に つながる 今現在を オレたち 大人も よりよくする!

(中略)

すごい 力を 持つ 者なら どんな 未来でも 描けるだろう!

◯◯が みせてくれる 未来 みんなで 楽しみに しようぜ!」

 

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あの強大なリザードンに勝つことができたのなら、誰よりも今現在を楽しんでいたダンデさんが、未来と向き合いはじめたのならば

 

私たちはきっとこれからも、このポケモンというゲームを楽しんでいけると思うのです。

 

 

 

おわり